コンタクトのスキル

矛盾するようですが、本当のコンタクトをとるためには、正しい距離を保つ力が必要とされます。よって、コンタクトのスキルとは以下を指します。

  1.   コンタクトしつつ中立であること
  2.   クライアントとの感情的距離を適切に保つ
  3.   クライアントとグループに安全を提供する
  4.   激しい感情をホールドする

クライアントとコンタクトするためには、まず自分自身とコンタクトできている必要があります。あなた自身が自分の体に根付いていること、つまり、腕や脚を含めた体全体で起きている体験にコンタクトできていることが不可欠です。特に、喉やお腹、そしてハートで起きることにコンタクトし続けることが必要です。なぜなら、クライアントにコンタクトする場合、それらが、クライアントに何が起きているかを最も感じやすい場所だからです。基本的にはこれはプレゼンス、そこに存在するスキルです。自分の全てでここにいること。散漫としないこと。そしてそのプレゼンスの場所からコンタクトすることで、クライアントを安心させることができます。

クライアントの安心感は共感によってもたらされるものではありません。それはプレゼンスにより生み出されます。ワークショップでクライアントが正気を失い取り乱したら、自分自身とその人を落ち着かせるのはプレゼンスです。共感、すなわちクライアントの感情を自分も同じように感じるほど、情緒的に繋がることは、そのような場合危険であり、逆効果をもたらします。必要なのは完全にここに在ることです。コンタクトしつつ自分の中心を保つことは、その場に完全に存在し、自分のフィールドにとどまることを指します。クライアントの家族のフィールドに入っていくのは、彼らについての情報を得る必要があるときだけです。それを共感や同情から行ってはいけません。そうしてしまうと、自分が中立でいることができなくなるからです。

クライアントと自分との間に正しい感情的距離を保つこととは、クライアントの物語が自分自身に共鳴し、感情が揺らぐときにそれに気づくことと、そうしたときにクライアントのフィールドから退くことを意味します。そうすることで情緒的なスペースを拡大し、その中で自分のプレゼンスを用いて安全で安定したコンタクトをとることができます。

これまでの部分を初めてご覧になった方は、「クライアントとグループ全体の安全を保つ」とは二つの異なる話題であると思われるかもしれません。実はそうではなく、プレゼンスが全ての安全の鍵です。コースの中では、どのような状況でもプレゼンスを大きくできるためのいくつかのエクササイズを、グループで行います。

またプレゼンスは、参加者の誰かに激しい感情があらわれたときに、それらを受け止め包容する力にも関わりがあります。しかし、強い感情をホールドする力は、幼少期に自分ではどうすることもできなかった体験などにより制限されていることがあります。もしそうなら、それらの体験に働きかける個人的なワークを行うことで、感情を受け止めるための容量をより大きくすることができます。それは簡単な道程ではありませんが、辛抱強くそして自分に思いやりを持つことで、超えていくことができます。

私たちがここに存在する力(プレゼンス)は子ども時代の出来事により制限されています。自分の育った家庭が安全な場所ではなかった場合、多くの人はそこにいないように、自分にコンタクトしないように、あたかも自分の体から抜け出すような方法で対処します。そういったことが自分に当てはまると感じる方は、どうぞがっかりしないでください。子ども時代にそれらの対処法が必要だった人々は、自分のプレゼンスが失われたときに、それにいち早く気づくことができます。子ども時代からの傷の下には、発見されることを待ち望んでいる宝物があります。そこにたどり着くために私たちに必要なのは、旅立つ勇気です。

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